前回までのブログでは太陽光発電の架台について触れてきました。
架台の価格推移については目にする機会は多くないと思いますので皆さまのご参考にもなると思いますし、又、普段は業者に一任してしまいそうな架台について自ら選定される基準を持つことができたのではないかと思います。
しかし、太陽光発電の導入には架台だけを選定すればいい訳ではありません。
架台以外にも様々な資材や工程が必要となります。
ご存知のように、セル費用、モジュール費用、工事費用 など数多くの内容を要するのです。
では、架台以外の資材の原価はどのように推移しているのでしょうか?
今回のブログは、太陽光発電の導入に掛かる費用のうち、原価のなかで最も占める割合の大きい太陽電池モジュールの原価推移を中心に触れていきたいと思います。
引き続き皆さまがご自身で太陽光発電をご検討される際に参考にしていただければ幸いです。
世界の太陽光発電の導入について
前回もお伝えしましたが基本的に太陽光発電の架台原価は上昇していきます。また、土地付き太陽光発電の販売を行っている販売店は実感されていると思いますが、用地の入手も少しずつ困難になっており、用地の原価も少しずつ上がっていっております 。
そうなると、商品の中で最も費用の占める割合の大きい太陽電池モジュールの原価について理解しなくてはいけません。
しかし、それを理解しようと思うと日本国内の市場を理解しているだけでは不足していると言えます。
そこでまずは世界各国の太陽光発電の導入事情について言及していきたいと思います。
どこの国が太陽光発電に積極的か?
世界の太陽光発電市場において日本市場は大きなものですが、実際に導入量が多い国は日本以外にもあります。
現在、世界一太陽光発電の導入量が多い国は中国です。中国は2017年に約53GWもの容量を導入しました。累計では約130GWに達しています。
そして次に導入量が多い国は、アメリカです。ここ数年でどんどん導入量を伸ばし、2017年には累計で約50GWを越え世界2位の導入量になりました。
そして第3位となるのが、我らが日本になります。近年、単年度での導入容量は減少していますが、累計では50GW近くまで伸びています。
累計の導入量も重要ですが、直近の単年度での導入量も重要です。太陽電池モジュールのメーカーからすれば、直近でのターゲット市場が決まるわけです。
2017年単年度での導入量は、中国、アメリカ、インドがトップ3でしたが、それぞれの市場状況がどのようになっているか詳細に触れたいと思います。
世界トップシェアの導入事情
まず、2017年に53GWもの導入を行った世界最大市場の中国について紹介したいと思います。この2017年の動きについては当然FIT制度によるものもありますが、諸外国と同様にFIT単価は年々下がっています。
しかし、自家消費型に対して補助金を出すなど、電気代削減を目的とした太陽光発電の設置に、国をあげて取り組んでいます。
昨年で導入された約53GWのうち、なんと20GWは自家消費型での導入でした。中国の電気代も日本と同程度で11~12円/kWhですが、前述した補助金が約7円/kWhもあるため、FITで導入するよりも回収が早くなっているのです。
次にアメリカですが、州によって太陽光発電に対する熱の入れ方は異なり差があります。
熱心な州では設置場所や設置タイプによってFIT価格が変わったり、買取価格を入札で決める形になっていたりと、上手く普及させるための工夫を行っています。
トランプ大統領がパリ協定から離脱し、再エネに対しての取り組みは減るように思えますが、再エネへ注力する州は増え続けており、2017年単年では約10GWもの導入量がありました。
そしてインドに関しては、そもそも経済成長が著しいことが要因として挙げられています。政府としてもエネルギー需要がどんどん増えている中で、同時にクリーンなエネルギーへの転換を掲げ、海外からの資本を入れ、電気の供給が足りていない地域での設置を進めています。まだまだ累計の導入量は少ないですが、2017年単年では約9GWもの導入容量がありました。
次に多かったのは日本であり2017年単年の導入容量は約7GWでした。
つまり、多くのメーカーは日本市場よりも、上記の3国に力を入れていることはお分かりだと思います。日本国内にいるだけではこのような市場推移にはなかなか目が向きにくいかと思います。
日本だけではなく、これらの国においての材料の需要が原価に大きく影響を与えることになっているのです。
まとめ
太陽光発電の資材や工程には様々な費用を要します。
それが安価であれば気にしない方も多いかと思いますが、太陽光発電の導入には多大な費用を要します。
次回のメルマガではより具体的な太陽電池モジュールの内容に触れていきたいと思います。
前回の架台に引きつづき太陽光発電の事情について詳しくなっていただければと思います。