昨今では、省エネや環境保護が至る所で話題になることが多いですが、今後もその動きは拡大していく傾向にあるといえます。
環境省は10月15日、2020年度概算要求時における、地球環境の保全、公害の防止、自然環境の保護・整備に関する環境保全経費を取りまとめ公表しました。その総額は2兆3394億円で、2019年度当初予算(1兆8671億円)比25.3%の増(+4723億円)となっています。環境省は、今後、政府予算案の編成において、環境保全経費の確保に努めていく。また、今後、政府予算案の決定時にも、環境保全経費の取りまとめを行い、結果を公表する予定になっています。
このようなことからも今後で省エネ分野が拡大していくことは確実といえますので、アンテナを立てておかないといけない分野と言えるかと思います。
「循環型社会の形成」経費は前年比1.4倍
環境保全経費概算要求額は、「地球環境」「生物多様性」「循環型社会」「水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境」「大気環境」「化学物質対策」「放射性物質による環境汚染の防止」「各種施策の基盤となる施策等」をテーマとする8体系で分類されています。
「地球環境の保全」に関する要求額は6973億円で、2019年度当初予算比約2割増(+1157億円)。主な施策として、経済産業省の「エネルギー使用合理化設備導入促進等対策費補助金」があげられています。「循環型社会の形成」に関する要求額は1460億円で、2019年度当初予算比1.4倍(+436億円)。主な施策は、環境省の「循環型社会形成推進交付金」、「大規模災害に備えた廃棄物処理体制検討・拠点整備事業」など。
体系別に構成比をみると、「放射性物質による環境汚染の防止」が36.2%、「地球環境の保全」が29.8%を占めていると言えます。
環境保全経費概算要求額の施策体系別内訳と主な施策
主な施策
(1)地球環境の保全
6973億円
5816億円
+1157億円
エネルギー使用合理化設備導入促進等対策費補助金【経済産業省】、森林環境保全整備事業【農林水産省ほか】、脱炭素でレジリエントかつ快適な地域とくらしの創造【環境省ほか】等
(2)生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組
1841億円
1805億円
+36億円
水源林造成事業【農林水産省】、国営公園維持管理費等【国土交通省】、自然公園等事業費【環境省】等
(3)循環型社会の形成
1460億円
1024億円
+436億円
循環型社会形成推進交付金【環境省】、大規模災害に備えた廃棄物処理体制検討・拠点整備事業【環境省】、PCB廃棄物処理設備のPCB除去・原状回復事業費【環境省】等
(4)水環境、土壌環境、地盤環境、海洋環境の保全に関する取組
1050億円
952億円
+98億円
農村地域資源維持・継承等対策経費【農林水産省】、適正な汚水処理の確保等のための下水道事業に必要な経費【国土交通省】、海洋保全対策費【環境省】等
(5)大気環境保全に関する取組
1923億円
1887億円
+36億円
交通安全施設等整備費補助【警察庁】、地域交通のグリーン化に向けた次世代自動車の普及促進【国土交通省】、微小粒子状物質(PM2.5)等総合対策費【環境省】等
(6)包括的な化学物質対策に関する取組
56億円
52億円
+4億円
化学物質規制対策事業【経済産業省】、食品安全確保調査等事業委託費【農林水産省】、化学物質環境実態調査費【環境省】等
(7)放射性物質による環境汚染の防止
8477億円
5652億円
+2825億円
中間貯蔵施設の整備等【環境省】、放射性物質汚染廃棄物処理事業等【環境省】、除去土壌等の適正管理・搬出等の実施【環境省】等
(8)各種施策の基盤となる施策等
1614億円
1484億円
+130億円
まとめ
今後も拡大していく省エネ分野について、このような環境保全費の予算組がされています。この数字を見るだけでも予算確保が十分にされていることは分かるかと思います。