経済産業省は3月31日、日本の現行制度の下で、日本企業が国際的な気候変動イニシアティブに適合した温室効果ガス排出量(GHG)の算定や、再生可能エネルギーとしての価値(再エネ価値)の取得・主張をするための方法をまとめたガイダンスを改定しました。これにより政府主導の省エネ推進の取り組みがより一層明確化されたといえます。今回のブログは、GHG算定・再エネ調達ガイダンス改定について、ご紹介していきたいと思います。
GHG算定・再エネ調達ガイダンス改定とは
経済産業省は3月31日、日本の現行制度の下で、日本企業が国際的な気候変動イニシアティブに適合した温室効果ガス排出量(GHG)の算定や、再生可能エネルギーとしての価値(再エネ価値)の取得・主張をするための方法をまとめたガイダンスを改定しました。今回の改定では、再生可能エネルギー(熱)に関する記述を追記し、また、国際的な気候変動イニシアティブの状況を最新の情報にアップデートした。このガイダンスの利用者は、国際的イニシアティブに参加している企業だけでなく、今後参加することを検討している企業・自治体などの環境担当者に加え、取引先と協働して再エネ導入を進める中小企業も想定しています。昨今、グローバル企業の気候変動対策に関する情報開示・評価に取り組む国際的なイニシアティブ(CDP、RE100、SBT等)の影響力が高まってきており、日本企業もこうした動きへの対応が求められています。これらのイニシアティブでは、GHG排出量の算定・報告において民間の基準である「GHGプロトコル」の利用を推奨しており、これがグローバルスタンダードとなりつつあります。そこで、経済産業省は2018年10月に設置した研究会で議論、国内外の情報を取りまとめ、2019年3月に「『国際的な気候変動イニシアティブへの対応に関するガイダンス』~日本において再エネを活用する企業のためのスコープ2ガイダンスへの対応~」を策定した。今回、同ガイダンスをさらに事業者に有益なものとなるよう改定しました。
ガイダンスの主な改定点
今回のガイダンスの主な改定点は以下の通り。
「スコープ2ガイダンス」に対応した熱の温室効果ガス排出量の算定
日本の現行制度下での需要家による「スコープ2ガイダンス」に則った熱の温室効果ガス排出量の算定方法についての解説を追記した。
再生可能エネルギー(熱)の調達と価値の主張
気候変動対策に関する情報開示・評価の国際的イニシアティブと国内の熱証書等の対応関係、日本の現行制度下における需要家の再生可能エネルギー(熱)の調達方法についての解説を追記した。
国際的な気候変動イニシアティブの概要
CDP、SBT、RE100等の国際的イニシアティブの最新情報を追記した。
まとめ
同ガイダンスは、全6章から構成される。第1章では、同ガイダンス策定の背景、目的及び想定する本ガイダンスの利用者について説明しています。第2章では、GHG排出量の算定方法として推奨されている「スコープ2ガイダンス」の概要等について解説。第3章では、第2章の内容を踏まえ、日本の現行制度の下で需要家が「スコープ2ガイダンス」に則った電気・熱のGHG排出量を算定する方法について、例示等を用いながら解説します。
第4章では、気候変動対策に関する情報開示・評価の国際的イニシアティブと国内の証書等との対応関係、国内の現行制度下における需要家の再エネ調達方法について、第5章では、需要家が証書等を創出・移転した場合における注意点について解説。また、Appendix(付録)では用語集や国際的イニシアティブ、国内の再エネ証書等制度の概要について解説することになっています。