環境省は3月29日、2019年度「家庭部門のCO2排出実態統計調査」の結果(確報値)を取りまとめ公表しました。
電気のCO2排出係数の改善や省エネの進展などを背景に、世帯当たりの年間CO2排出量は2.72t‐CO2と、前年度比6.2%減少しています。
なお、速報値は2020年9月29日に公表されました。
家庭のCO2排出量は前年度比6.2%減
今回取りまとめた確報値と、速報値のCO2排出量に差異があるのは、速報値公表(2020年9月29日公表)以降に、当該年度(2019年度)の電気のCO2排出係数が利用可能になり、これを適用したためとなります。
この調査は、各世帯の世帯構成、住宅の建て方、電気・ガス等のエネルギー消費量や家電製品別の使用状況等、延べ496項目にわたって調査しています。
従来の調査・統計では、家庭におけるCO2排出量やエネルギー消費量とその説明要因(居住人数や住宅の建て方、保有する機器等)が別々に把握されていました。
この調査により、家庭からのCO2排出量やエネルギー消費量の把握に加え、世帯のCO2排出量やエネルギー消費量とその説明要因や冷房・暖房の設定温度、省エネ行動の実施状況等を一体的に把握することで、家庭におけるCO2の排出実態を精緻に把握することが可能になると言われています。
電気の使用によるCO2排出量は66.2%
2019年度の世帯当たりの年間CO2排出(電気、ガス、灯油の合計)は2.72t‐CO2となっています。このうち、電気の使用によるCO2排出量がエネルギー種別で最大の66.2%を占めています。
建て方別にCO2排出量を比較すると、戸建住宅の世帯では集合住宅の世帯の約1.8倍でした。世帯類型別のCO2排出量を比較すると、高齢世帯の排出量が若中年世帯よりやや多い傾向がみられています。
太陽光発電システムの使用している世帯の割合は、戸建住宅で12.7%、集合住宅で0.0%、全体では7.0%となります。二重サッシまたは複層ガラスがすべての窓にある世帯は24%、一部の窓にある世帯は16%でした。
まとめ
この調査は、家庭部門の詳細なCO2排出実態等を把握し、地球温暖化対策の企画・立案に資する基礎資料を得ることを目的に、2017年度から統計法に基づく一般統計調査として実施しています。
2019年度調査は、全国10地方の店舗等併用住宅以外の住宅に住む主世帯を対象に実施しました。調査対象期間は2019年4月~2020年3月。調査世帯数は13,000世帯で、集計世帯数は9,660世帯(有効回答率74.3%)。
調査対象世帯は、住民基本台帳からの無作為抽出と、インターネット調査モニターからの選定(有意抽出)の2つの方法によって選定されています。
調査結果は、地方公共団体、大学をはじめ様々な主体に提供していく。併せて、環境省では調査を継続するとともに、対策強化の検討など、調査結果のさらなる活用を進めていきます。