太陽光発電は今どうなっているの? ①
皆さま、太陽光発電と聞いてどのようなイメージを持たれていますか?
数年前に流行っていた・・・
導入費用が高い・・・
太陽光業者の倒産件数が増えている・・・ など
近年話題になることも多い太陽光発電についてニュースなどからこのような印象を持たれている方も多いのではないかと思います。
このような浮き沈みの激しい印象を持たれがちな太陽光発電ですが、世間の動きを見てみると省エネ全般のニーズは確実に拡大していると言えます。
このような状況のなかで太陽光発電はどのような内容になっているのでしょうか?
今回はそんな太陽光発電の現状について全3回に分けて皆さまに紹介していきたいと思います。
今回はそんな太陽光発電の今に至るまでを取り上げたいと思います。
太陽光発電の経緯
今では当たり前に目にする機会が多い太陽光発電ですが、当然以前は今ほど普及していなかった時期もあります。一体いつ頃から私たちの目に触れる機会が多くなってきたのでしょうか?
太陽光発電のはじまり
1973年の第一次オイルショック、1978~1983年の第2次オイルショックで石油価格が高騰したことから、石油エネルギーに依存していた当時の世界経済は大混乱になりました。
そこで省エネが叫ばれるとともに、石油以外のエネルギー源が求められることになります。その1つが再生可能エネルギーであり、太陽光発電でした。
ちなみにこちらもよく耳にすることが多いと思いますが、再生可能エネルギー とは一体なんなのでしょうか?
再生可能エネルギーとは、
太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、バイオマス
を用いた発電方法になります。
当時は石油に代わるエネルギーとしてこれらのエネルギーを使った発電に非常に注目が集まっていました。
日本の太陽光発電導入量が世界一に
1993年に日本で初めて住宅用太陽光発電が設置されました。
驚くべきことに当時の太陽光発電設備は非常に高額で4KWで1500万円もしています。
しかし、それでも新しい技術への関心や省エネの観点から太陽光発電を住宅に導入する人は増え続けていきました。
そして1994年から購入時の補助金の支給が開始され、日本の太陽光発電導入量は世界一になりました。
FIT制度の導入でドイツ・スペインが台頭
しかし2004年にはドイツがFIT制度を太陽光にも導入し、爆発的に導入量を伸ばします。その後スペインにもFIT制度が導入され、その買取価格の高さから世界中の投機を呼び、太陽光バブルが生まれました。
皆さま少し前のニュースなど取り上げられる機会の多かったFIT制度がどういったものか覚えてますか?
FIT制度は日本語では 固定価格買い取り制度 と呼ばれ、国が一般的な電気価格よりも高い買取価格を設定し、それを一定期間補償するといった制度になります。
このFIT制度がドイツやスペインで導入されていたこともあり導入が進んだのですが、一方日本では2005年で補助金を打ち切り導入量が減っていたこともあり、2010年時点で導入数が世界3位にまで落ち込んでしまいます。
日本での太陽光バブル
そのような状況があったことから2012年7月に日本でFIT制度が導入されます。
当時の日本では、東日本大震災の電力不足や原子力発電からの転換で再エネへの機運も高まっていて、国際基準の約2倍にあたる買取価格(産業用40円/kWh)が設定されました。
さらにそれまで認められていなかった電気を全部買い取る全量買取制度が認められ、太陽光発電事業の基盤を整えました。そして施行後3年間を利潤配慮期間とし、高い買取価格を維持することも決められていきました。
さらに設備投資分の即時償却を認める「グリーン投資減税」の節税効果、日本各地に有り余る遊休地の有効活用、環境アセスメントが不要ということ・・・。
それらが相まって、一気に太陽光発電に投資が流れ込みました。
また買取価格も10kW以上の産業用で一律で、規模が大きいほど事業性が向上するため、日本中に大規模な太陽光発電施設(メガソーラー)が作られたのです。
これがいわゆる数年前に起きた太陽光バブルでした。
太陽光バブルの終息
太陽光バブルによって爆発的に増えていた太陽光発電の導入ですが、問題によって終息を迎え始めます。
電力会社のその当時の接続可能量を、認定量が大幅に上回ってきてしまったのです。
もし接続可能量を超えて太陽光発電が接続されると、配電網全体の電圧が上昇し通常の潮流に支障をきたすバンク逆潮流問題が起ってしまいます。
この事態を受けて、2014年9月に九州電力が既存・新規を含めて全ての接続の申込を中断し、同様の状況にあった北海道、東北、四国、沖縄電力もそれに続きました。
これは太陽光事業を予定していた多くの事業者に衝撃を与え、2015年1月には事実上の導入制限を設ける形で制度が変更されました。
そして50kW以上の高圧・特別高圧設備を連携する際には、バンク逆潮流対策の工事費を設置者が負担することになったのです。
これにより太陽光バブルは終息を迎え投機的な理由での太陽光発電の導入は減少していったのでした。
売電から創エネへ
3年間の利潤配慮期間で日本の太陽光導入量や再エネの割合は高まりました。
今後の傾向としては、大規模太陽光発電の導入を抑え、住宅用太陽光発電の拡充と他再生エネルギーの導入の推進が主になります。
これまでは闇雲に導入量を拡大してきましたが、技術の進歩を踏まえて省エネを図りながらより効率的な利用方法を探っていく段階になっているのです。
まとめ
今回は太陽光発電の今までの経緯について紹介をしました。
ニュースなどで何となく分かっていた内容もあると思いますが改めて聞く内容もあったのではないかと思います。
では、このような経緯を辿ってきた太陽光発電ですが現在はどのような扱いが増えているのでしょうか?
次回は太陽光発電の現在の状況について紹介していきたいと思います