皆さんは国の予算が具体的にどのような活動に活用されているか知っていますか?
世の中のため。
産業の発展のために活用しているのではないか?
環境を良くするために活用していると思う。
補助金や助成金に充てられている。
例えばこのような声が聞こえてきそうですが、いずれも間違いではありません。
国の予算は各省庁が毎年決められた予算の中で予算編成を行っており、予算額は取り組む内容によって異なります。
今回は経済産業省が省エネおという分野に対してどのような予算の概算要求を行っているかご紹介します。
まずは国の予算編成と概算要求とは何を示しているのかをお伝えします。
国の予算編成とは?
国の予算編成とは国の歳入(収入)をもとに、歳出(支出)を決定することです。更に分かりやすくお伝えすると税金などの歳入をどの分野にどれだけ使うのかを決定する作業のことです。
概算要求とは?
国の予算編成に先立って、財政法及び予算決算及び会計令に基づき、各府省庁は、毎年度、翌年度の政策を実施するのに必要な経費の見積書を財務省に提出します。
概算要求書は、歳入・歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の見積書などで構成されています。
国の予算編成と概算要求について簡単にでも理解して頂けたところで、それではいったい経済産業省はどのような基準で予算を決めているのでしょうか?
平成30年度経済産業省の概算要求の重要なキーワード
経済産業省が掲げる概算要求のキーワードは「環境・エネルギー制約の克服と投資拡大」です。経済産業省はエネルギー基本計画における2030年目標を達成するために、省エネルギーの徹底やエネルギー使用の最適化を図るとともに低炭素エネルギーを最大限導入すること、同時に省エネ技術等を海外展開すること、エネルギーセキュリティを強化するため国内外での資源確保等を推進するという3項目を掲げています。
それでは経済産業省は具体的にいくらの予算を組んでいるのでしょうか?
平成30年度 経済産業省関係 概算要求(エネルギー対策特別会計)
経済産業省は省エネに関する予算を平成29年度から平成30年度に向けて増加させています。これらの予算の中にはエネルギー使用の最適化、低炭素エネルギーの最大限の導入、エネルギーセキュリティの強化に向けた対策費用が確保されています。
ここからはそれぞれの使用内容についてご紹介します。
1.エネルギー使用の最適化
・省エネ補助金等による中小企業等の工場の更なる省エネ化
・住宅・ビルのゼロ・エネルギー化(ZEH・ZEB)に向けた補助
・自動走行実現に向けた実証、次世代自動車導入補助
・AI・IoT・バイオ技術による新素材開発等のものづくり研究開発
・工場廃熱等を活用した地産地消型エネルギーシステム補助、仮想発電所(VPP)実証
・海外エネルギー市場の獲得のための省エネ技術の国際実証
2.低炭素エネルギーの最大限の導入
・太陽光発電等再エネの低コスト化のための研究開発
・水素サプライチェーン構築実証、燃料電池導入補助
・原子力の安全性向上に資する技術開発
・電源立地対策交付金等による原子力立地地域支援
・IGFC等の先進火力発電技術実証、CCS実用化研究開発
3.エネルギーセキュリティの強化
・メタンハイドレート、鉱物資源などの国内資源開発
・製油所の耐震化補助等による危機対応能力の強化
・JOGMECへのリスクマネー供給等による国外資源権益確保
これらの項目から経済産業省は中小企業等が先端的な省エネ設備の導入がしやすい環境を整えたり、省エネ性能の高い住宅・建築物の普及させ、省エネ化=経済の発展という視点で予算を確保していることが分かります。
まとめ
経済産業省は中小企業等に対する省エネルギー診断事業費補助金や省エネルギー投資促進に向けた支援補助金など、中小企業に向けた省エネに関する補助金を平成30年度の施策として発表しています。
経済産業省の補助金を活用したいと考えられている企業様は今回のような、経済産業省が考える予算確保という視点で資料つくりを進めて頂けると良いのではないでしょうか?
次回は省エネに関わる平成30年度予算の概算要求(環境省)についてご紹介します