今回の省エネ補助金活用事例は、中型の商業ビルの省エネ補助金活用ならびに施工事例をご紹介します。高効率給湯設備ならびに見える化装置を設置することにより、原油換算量で10,919kl/年、省エネルギー率11.9%を実現している案件となります。大きく2回に分けた施工のうちの第1第の施工内容の事例となります。
施工対象中型商業ビル情報
今回施工対象となりました中型商業ビルは下記の内容になります。
会社 商業ビルA とします
業種 不動産賃貸・管理業
主な設備 全12階(賃貸事務所 貸会議室)
所在地 愛知県内
施工実施前の状況
商業ビルAは愛知県にある全12階の中型の商業ビルで、法人への賃貸事務所スペースならびに貸会議室となります。ビジネス街の中心部にある建物であり、有名金融機関の店舗も入居していることから、利便性等の高さも評価を受けている建物と言うことができると思います。しかし、建物そのものは数十年前に建てられたものであり、昨今の様々な経済状況から、エネルギーコスト削減が年々テーマとして優先順位が高まってきている状況でした。
このビルのオーナー様ならびに管理を請け負っている企業様は、エネルギーコストの削減に独自で取り組もうと試みましたが、この中で3つの問題に直面していました。1つ目は、エネルギーコストを削減すると言っても、現在どのような形や割合でエネルギーコストがかかっているかが明確ではなかったということ。2つ目は、全館的な施工を行うとコストが増大することは容易に想像ができたのですが、そのコストを補うための補助金の申請に全くノウハウがなかったこと。3つ目は、テナントが入りながらの施工という多くの責任が発生する仕事に対応できる業者の用意ができる見込みがなかったこと。これらの問題に直面し、プロジェクトを前に進ませることができない状態でした。
お客様がこのような状態にある中で、弊社は知り合いの企業様を通じてこの商業ビルAの管理会社様をご紹介頂きました。弊社は適切な補助金の選択ならびに申請、その後の施工業務を一貫して行う中で、現在どのような形や割合でエネルギーコストがかかっているかをどこまで明らかにしなければいけないか、ということを経験的に把握ならびに理解しています。オーナー様はやれるならばすぐにやりたい、という意向とのことでしたが、弊社からの提案としては、まずはエネルギーコスト削減の施工をして本当に有効なのか?有効ならばどこまで有効なのか?そして、施工をするとどれだけのエネルギーコスト削減が見込め、それに対してどの補助金が活用できるのか?これらのことを検討するためにも、まずは正確なエネルギーコストの算出を年単位で行い、その後に具体的な施工内容や施工方法を検討することをお勧め致しました。
結果として、最初にエネルギーコストの計測を始めてから3年~4年が経過した後に、具体的な施工計画の構築ならびにその後の施工実施となりました。このような準備をすることをせずに拙速な計画立案や補助金申請をしても、どこかでプロジェクトが暗礁に乗り上げていたことが予想される案件となります。
まとめ
エネルギーコスト削減が多くの商業ビルにとっても優先順位が高い課題となっていることは間違いがないと思います。しかし、どのような状態でいくらのエネルギーコストがかかっているのかが正確に計測できているケースばかりではなく、曖昧な状態で日々の業務が運営されている商業ビルも少なくありません。このような状態で施工計画を組んだり、補助金申請をしても、どこかの段階でプロジェクトが前に進めなくなってしまうことが予想されます。弊社はエネルギーコスト削減のための補助金申請を強みとして、その施工を行う事により収益をあげています。もちろんその施工を行う事を積極的に提案していきたいことは間違いないのですが、エネルギーコスト削減工事の全体像を把握している者として、1歩立ち止まって(この期間は1年~2年だったりします)正確な現状把握から行うこともお勧めすることもあります。