皆さんの中には太陽光発電設備といえば固定価格買取制度(FIT制度)で売電というイメージを持たれている方も多いと思いますが、近年では自家消費型のニーズが高まっていることをご存じでしょうか?
工場や事業施設などでは自家消費型の太陽光発電システムが導入されるケースが増え続けています。
今回は自家消費型の太陽光発電についてご紹介していきます。
自社消費型の太陽光とは?
自家消費型太陽光発電とは、電気を売らずに自分たちで消費することを目的としている太陽光発電システムをいいます。
自家消費型の太陽光発電が増えている背景
一般的に太陽光発電といえば、売電を目的とするものと思われがちですが、売電事業の場合は買取価格が年々減少していることから、消費型へと切り替えている企業も増えています。
2010年から2018年までの売電価格推移
このように年々売電価格は減少傾向にあり、今後はFIT制度による買取価格は、電気代を下回るといわれています。買うよりも創る(発電する)方が経済的であるという時代が目前にせまっていることから、自家消費型の太陽光発電システムが注目されてきています。
太陽光電力を全量自家消費するメリット
最大需要電力の削減で電気代カット
産業用電気料金プランは、年間の最大電力使用量を基準にして決定することから、最大電力使用量が大きいと、基本料金が高くなります。
繁忙期の工場稼働コストや夏季の空調利用が電力需要のピークを押し上げている場合、自家消費型太陽光発電システムを導入することで、年間の最大需要電力の削減が可能となります。よって電力消費量の大きい工場などでは大きなコストダウンが見込めます。
中小企業の節税対策になる
2017年4月に施行された中小企業経営強化税制を利用すれば、自家消費型太陽光発電システムにかかる固定資産税軽減を図ることが可能です。
10kW以上を生み出す産業用太陽光発電システムは、その利用目的が売電か自家消費かにかかわらず、収益を生み出す事業用資産として見なされ固定資産税の課税対象となります。自家消費型太陽光発電システムは、生産性を高めるための機械装置として指定されており、経営力向上計画に基づいて申請し国の認定を受ければ、即時償却または税額控除のいずれかを選んで適用できる可能性があります。
売電型より初期投資の回収が早い可能性がある
電気代削減の効果が大きく、補助率の高い補助事業があり、節税にもなるということで、自家消費型太陽光発電は経済的なメリットも大きく、場合によってはFIT制度で売電するよりも初期投資の費用が短くなる場合もあります。
工場など電気を消費する施設へ太陽光発電システムを設置する場合は、売電型と自家消費型のどちらの投資回収が早いかシミュレーションしてみることも重要です。
企業の環境に対する取り組みとして
自家消費型太陽光発電は、環境への取り組みとして評価されるポイントのひとつです。海外で支社や工場を展開する場合、その企業の環境問題対策の有無によって融資が決定するケースも見られます。
まとめ
全量自家消費型の太陽光発電は、中長期で見れば自社電力施設という資産を形成することが可能で、地方に製造拠点などを構える企業こそ大きな利益を受けることができます。省庁や行政の補助金制度には期限が設けられているため、自家消費型の導入を検討されている方はお早めの判断をおすすめします。