前回のブログでは太陽光発電設備の架台について選定ポイントを紹介しました。
実はこの内容にご好評をいただき、もっと架台について詳しく知りたい。といったお声をいただくことが多くありました。
皆さま太陽光発電設備自体には詳しい方もいますが、架台についてはあまり知らなかったようですね。
そこで今回のブログは前回引き続き太陽光発電の架台についてテーマを取り上げていきたいと思います。
この機会に太陽光発電はかなり詳しくなられるといいのではないでしょうか?
最新の太陽光発電の架台について
先週から取り上げている太陽光発電の架台ですが最新事情ではどういったことが話題に挙がるのでしょうか?
今回は太陽光発電の架台について業界で注目されている内容を取り上げていきたいと思います。
架台の新JIS規格は、結局何がどう変わるのか?
昨今、市場を騒がせているのは、架台の規格が年内に変わるというものです。
正確には、改定太陽光発電の架台に関する工業規格JIS(JISC 8955)は、昨年4月に改定されたものの義務化については省令の方が追いついておらず、ようやく今年の1月末に案が出てきた状態です。
その案の内容をわかりやすく説明すると、今までの「JIS C 8955(2004)」は、「設計標準」として「防食」「許容応力度」「部材の接合」に関しても規定がありましたが、今回の改定で設計標準としてではなく、「設計用荷重」の「算出方法」という形に変わり、「防食」等の項目は削除されました。
その代わりに補足として、「材料」「接合部」「基礎部分」「防食」にはざっくりとした基準が設けられました。
詳細については、今年度中に電気設備の技術基準自体を改正し、その内容を基準とする、という流れになっています。
結局、「風圧加重」「積雪荷重」「地震荷重」等の計算方法は決まったものの、まだ材料や防食についての細かい基準は決まりきっていないのが現状です。
実際に省令としては、2018年度中に改正し明確に義務化の動きになる予定です。今、架台メーカーは現状の新JIS規格に対応していますが、これらが決まれば再度、対応に追われることになっていきます。
国内外の架台メーカーの対応状況と価格について
では実際に架台メーカーはどのような動きをしているのでしょうか。
国内外の架台メーカー30社へアンケートを見ると、新JIS規格への対応は済んでいる、と答えた企業は94%にのぼり、問題なく移行が進んでいる状況です。
では、話題の主な焦点である「価格」に関してはどうでしょうか?
業界内では架台の価格が「2倍近くにまであがってしまう」という噂も出ていますが、「価格が上がる」と答えたメーカーは20%程度でした。
回答内容のいくつかをご紹介いたします。
●2.0倍までの値上がりは無いが、1.5倍程度の値上がりはほぼ確実。メーカーとしてはアルミ以外の材質での設計や、工法の工夫で価格を抑える努力をしている。
●新JIS規格になることで2,000円/kW程度の値上がりとなる予定。仕入れの工夫や、原材料の見直しで価格を抑える努力はしている。
●自社工場にて、設計・生産を行っているため、新JIS規格でも品質・価格を一定に保つことが可能。
●以前より地域ごとの風量・積雪量を元に強度を算出し、設計を実施。品質にはこれまでもこだわりを持ってきたため、新JIS規格においても価格は今までとほぼ変わらず対応可能。
●旧JIS規格の製品においては、部材点数が多くコスト高の要因となっていた。新JIS規格に改定となるタイミングで再設計・新開発を行った結果、部材強度を上げ、かつ価格を低下させることに成功。ただし、新JISでは組立方法が変更となったため、旧JIS規格での架台との連結が不可能となった。旧JISの架台でユニットを増やしたいというお客様に対しては旧JISを推奨していく。
といった回答を頂きました。
まだまだコストの見直し可能!架台の最新原価情報について
具体的な価格について、5~6月時点のものをお伝えすると、中国メーカーのアルミ製架台では、厦門安泰ソーラー、Goomax、厦門グレースソーラーといった有名メーカーを中心として20社程度アンケートを行った結果、kWあたり8,000円~18,000円という価格帯になっています。
多くの販売店で中国メーカーの架台を導入されているかと思いますが、未だにkWあたり10,000円もの差が出ています。まだまだ架台もメーカーの見直しが必要です。
国内メーカーでは、奥地建産、サンレール、長岡金属工業といった有名メーカーを中心に10社程度ヒヤリングを行った結果、
●アルミ製・・・10,000~22,000円/kW
●ZAM・・・12,000~20,000円/kW
といった価格帯になっています。ZAMは品質が良い分、高い印象がありますが、ご覧のように、アルミ製架台とあまり差はありません。品質を最も重視される販売店であれば、ZAMへ切り替えていくことも視野に入れましょう。
また、中国製アルミ架台と日本製架台の価格差も少しずつなくなって来ていることがわかります。架台の規格が厳格化しているということは、架台品質に問題があるということです。
まとめ
如何だったでしょうか?
太陽光発電の架台についてかなり詳しくなったのではないでしょうか?
こういった業界の最新事業を把握していくことは太陽光発電に限らずですがとても重要なことです。
是非、皆さまのご参考になればと思っています。