2009年にスタートした太陽光発電の余剰電力買取制度ですが、10年間の買取義務保証期間が終了すると、電力会社に買取義務がなくなります。
契約が終わってしまったら、太陽光発電設置家庭はどうすれば良いのでしょうか。
2019年から契約が切れる家庭が出始める「電力の2019年問題」について話していきます。
「電力の2019年問題」
再生可能エネルギーの固定価格買取制度に「電力の2019年問題」が迫っています。2009年の余剰電力買取制度スタート時点から太陽光発電の電力を売電していた世帯の契約が2019年度末で終了するということです。
契約終了世帯は太陽光発電協会の累計設置数から推定して50万件前後に達するとみられています。
それでは契約が終わった住宅用太陽光発電はどうなるのでしょうか。
買取義務終了後は新たな契約か、自家消費に?
しかし、10年の期間が終了すると、電力会社に買取義務はなくなります。太陽光発電の設置家庭が電力会社と交渉し、個別に新契約を結ぶことは可能ですが、電力会社が契約に応じなければ、買い手不在となります。
経済産業省は買い手不在の余剰電力について、電力会社に無償で引き受けるよう要請する方針です。2017年末に開かれた総合資源エネルギー調査会の小委員会でこの方針が了承されました。
太陽光発電の設置者は契約期間が終了すると、余剰電力を自家消費するか、どこかと売電契約するかを選ばなければなりません。
売電契約するとしても価格は1キロワット時当たり10円に満たない低単価になることが予想されます。
蓄電池メーカーにはビジネスチャンス
電力業界や電機メーカーには、今後新たなビジネスチャンスになる可能性があります。自前の発電所を持たない新電力は、低価格で余剰電力を調達する好機が訪れます。
太陽光発電の設置家庭が昼間の余剰電力を夜間に使用するなら、電気を貯める蓄電池が必要です。パナソニックや三菱電機は今後、蓄電池が有望な市場になると見越しています。
オリックスなど蓄電池のレンタル需要を期待し、商戦に備える企業も出てきました。
蓄電池の代替品として電気自動車も有望になってくるといわれています。余剰電力で電気自動車を充電するわけで、日産など自動車メーカーは売り込みに余念がありません。
余剰電力活用法も検討課題に急浮上
蓄電池を導入していない家庭の余剰電力をどう有効活用するかも、考えなければならない課題でしょう。東京電力エナジーパートナー(EP)は、住宅用太陽光発電の余剰電力を預かる実証実験に入ります。
預かった電力はその家庭が実際に使うときに返すほか、他の家庭とシェアできるようにし、その仕組みや料金体系を構築する実験です。
東電EPは「2019年3月までの実証実験結果を見て、活用方法を考えたい」としていますが、実用化されれば太陽光発電設置家庭に朗報となりそうです。
まとめ
電力の2019年問題は必ずしも問題があるだけではありません。そこにはさまざまなビジネスチャンスや可能性が広がっているのです。消費者も企業も固定価格買取制度に頼らない太陽光発電の活用法を考える契機としなければなりません。