皆さんはデマンドレスポンスという言葉を聞いたことがありますでしょうか?
デマンドレスポンスとは卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力の消費パターンを変化させることをいいます。
今回はデマンドレスポンスに関係する補助金についてご紹介していくので、ビル所有者や熱電供給事業者などが対象となる方は最後までお読みください。
コジェネレーションシステム・熱電融通インフラの導入に対する補助金
東京都環境公社(クール・ネット東京)は、スマートエネルギーエリアの形成を推進するため、コジェネレーションシステム(CGS)や熱電融通インフラ(送電線・熱導管など)の導入に対する補助金について、2018年度第2回募集を11月9日から開始する。
それに伴い、事業概要と申請方法に関する説明会を11月8日・9日(火)に開催する。説明会への参加費は無料で、定員は各回18名(先着順)。
スマートエネルギーエリア形成推進事業
補助事業の名称は「スマートエネルギーエリア形成推進事業」。都内の建築物を対象に、コージェネレーションシステムまたは熱電融通インフラ(熱導管又は電線路)の設置に対して、エネルギーマネジメントを実施し、デマンドレスポンスの実行を可能にする体制を構築することを条件に、助成金を交付する。
事業内容
熱・電力を複数の建物間で融通させる
同助成事業の対象となるのは、CGSからの熱・電力の供給を受ける建築物において、エネルギーマネジメントを実施し、デマンドレスポンスを実行可能にする体制を構築するもの。
補助金申請時に必要な要件
・CGSで使用する燃料は、天然ガスを主原料とするもの
・CGSは発電出力の合計が50kW以上で、発電出力が供給対象建築物の最大電力需要の10%以上に達すること
・CGSは高効率と認められるもの(※1台当たりの発電出力が30kW以上の場合、2.17×発電効率(%)+排熱利用率(%)> 87(%)を満たすもの)
・CGSは災害時等に系統電力が途絶えた場合において、自立運転が可能な機能を有するもの
・熱電融通インフラはCGSを設置する建築物と接続させるか、または熱電エネルギーを事業所単体消費から面的に融通することを可能にするもの
・CGS・熱電融通インフラを新たに設置する都内の建築物であること
・災害時等の停電時に公衆無線LANが利用可能な一時滞在施設を確保するもの
・CGSを設置する建築物等において再生可能エネルギー機器もしくは電気自動車用急速充電器、燃料電池自動車を導入するもの
・2021年12月28日までに工事が完了するもの
助成対象事業者
CGS・熱電融通インフラを設置しようとする民間事業者。具体的には、ビル所有者、熱電供給事業者、ESCO事業者、リース事業者のほか、ビル1棟を全棟借りしたテナント(ビル所有者の同意書が必要)も申請できる。
スマートエネルギーエリア
CGSなどから発生する熱・電力を複数の建物間で融通することにより、平常時には省エネを実現し、災害時等には系統電力が途絶えてもエネルギー供給を確保することができるエリアと定義している。
助成金の申請受付期間
2018年1月18日(金)まで。審査を経て2019年3月上旬に交付を決定する予定。
熱電インフラを導入すれば補助率50%
助成対象設備と助成額は次の通り。なお、この助成金の交付にかかわる総予算額は55億円。
・CGS(熱電融通インフラと新たに接続する場合)
助成率はCGSの設置に要する経費の1/2以内。上限額は4億円(国の補助制度と併用する場合の上限額は1.33億円)。国の補助制度と併用する場合は、経費の1/2から国の補助金を控除した額または対象経費の1/6のうちいずれか低い額。熱電融通インフラと併用が可能。
・CGS(CGSのみ設置する場合)
CGSの設置に要する経費の1/4以内。上限額は1億円(国の補助制度と併用する場合の上限額は0.67億円)。国の補助制度と併用する場合は、経費の1/2から国の補助金を控除した額または対象経費の1/6のうちいずれか低い額。
・熱電融通インフラ
熱電融通インフラの設置に要する経費の1/2以内。上限額は1億円(国の補助制度と併用する場合の上限額は0.33億円)。国の補助制度と併用する場合は、経費の2/3から国の補助金を控除した額または対象経費の1/6のうちいずれか低い額。
説明会
開催日時は(1)11月8日(木)、(2)11月9日(金)、時間はいずれも13:45~15:30。両日とも同一内容。会場は東京都環境公社(クール・ネット東京)会議室(新宿区西新宿)。
説明会参加には事前予約が必要。
申込み期間
申込み期間は(1)が11月7日(水)まで、(2)が11月8日(木)まで。ただし、定員になり次第締め切る。参加申し込みは東京都環境公社のウェブサイトで受け付けている。
まとめ
今回の補助金はスマートエネルギー都市を目指すのための事業者向け補助金です。電力会社が需要家側に電力の節約をしてもらうよう促すことで余剰電力を生み出し、一方で、需要家側はその分の対価を受け取ることができるというこの仕組みは横浜や北九州市を中心に全国に拡がりを見せており、今後私たちの生活の基準となっていくことでしょう。