今回の省エネ補助金活用事例は、6階建てのオフィスビルの省エネ補助金活用事例です。現在は全体感としては省エネの必要性が叫ばれており、特に製造業の工場などでは積極的かつ継続的なエネルギーコスト削減活動が行われていますが、オフィスビルに関しては省エネ活動が進んでいないことが現状です。なぜそうなのか?今回の事例もその現状が表れている典型的な事例となります。
施工対象企業情報
今回施工対象となりました企業は下記の内容になります。
会社 株式会社A とします
※オフィスビル経営のために法人化をしていますが、事実上オーナー様1人の会社です。
業種 オフィスビル経営
従業員数 なし
所在地 名古屋市内
管理会社 株式会社B とします
※オーナー様から委託されて、オフィスビルの管理を行っている会社です。
施工実施前の状況
オーナー様は株式会社Aという法人を作りオフィスビル経営を行っていますが、事実上はオーナー様個人が所有しているビルを管理会社である株式会社Bが建物管理をしています。
このオフィスビルは築年数25年で、比較的場所も優良な立地であることからテナントの確保にそれほどまでは困っているわけではありません。しかし、低価格路線の物件が多くなったり、賃貸をする事業者の数も増えないことから、物件の競争力の確保は中長期的な課題とはなっています。
管理会社である株式会社Bが考えている方法としては、オフィスビルにかかっている電気代について、空調や照明、給湯器関係を省エネタイプのものに交換するとにより2割~3割削減し、それにより賃料を少し下げることにより、利益を増大しつつ物件の競争力を維持するというものでした。
しかし、その施工費を試算すると2,000万円~3,000万円にはなります。当然その費用を投資して削減できる電気代を考えると、5年~6年では投資対効果として元が取れることになるのですが、管理会社としてはこの提案をオーナー様にすることは躊躇してしまいます。
躊躇する理由としては3つほど考えられます。1つ目はオフィスビルとしてエネルギーコスト削減に強い義務がないことがあげられます。製造業の工場はエネルギーコスト削減が義務化されていて、毎年厳しい審査を通っていかなければいけませんが、オフィスビルには今のところそのようなものが課せられてはいません。また、オーナー様自身も製造業工場の担当者のように、エネルギーコスト削減ということに対して詳しい人もほとんど存在しません。2つ目は、オーナー様にそのような施工費を提案すると、「そのお金をもっと利回りのよい投資に回すことはできないのか?」という発想を持たれやすいことです。製造業の工場に比べてオフィスビルはその所有については流動性がありますので、それであればこの物件を売却して他のより高利回りの投資をしたい、ということをオーナー様は優先的に発送をしてしまいます。3つ目は2つ目とも連動しますが、そのような状況が発生すると、管理会社は建物を管理するという仕事を失うことになってしまいますので、自社の売上を減らすリスクを取ってまで、エネルギーコスト削減提案を行うのか?というと、やはり躊躇をしてしまう方が自然です。
今回のオフィスビルについてもこのような典型的な状態でした。そのような時に弊社が共通の知事を通じて管理会社である株式会社Bの担当者を紹介して頂きました。もちろん株式会社Bも省エネの専門家ではないため、省エネに関する補助金についても詳しい知見がありません。弊社から今回におオフィスビルに適合する補助金の種類や、オーナー様にどのように話をしたら通すことができるかなど、アドバイスや支援をしていくことになります。
まとめ
オフィスビルはその構造的な要因から、エネルギーコスト削減の取り組みが進んでいません。どうしても初期の施工費だけに目がいきがちになり、エネルギーコスト削減効果と他の投資物件と比較をされることにもなります。もちろんオーナー様はエネルギーコスト削減に興味がある人は少なく、提案をする立場になる管理会社にも知識や経験がなく、オーナー様は顧客となるので、どうしても積極的なエネルギーコスト削減の提案ができません。弊社はこの分野の専門的な立場から、オーナー様を説得できるように投資費用を抑えたり、この投資による利回りをどう見せるかなど、管理会社様にアドバイスをすることにより、エネルギーコスト削減工事へのゴーサインを頂けるように後ろ側から支援することを行っています。オフィスビルは製造業の工場のように、エネルギーコスト構造が複雑ではありません。施工により確実にコスト削減に繋げることができ、結果としてはオーナー様にも喜んで頂ける可能性も高いので、施工のゴーサインを頂くハードルをどう乗り越えるのかがポイントです。