主要温室効果ガス濃度が観測史上最高を更新 WMOが公表
気象庁は11月25日、世界の主要温室効果ガス濃度が、観測史上最高を更新したと発表した。世界気象機関(WMO)が「温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)第15号」を公表し、明らかになったもの。同年報によると、大気中の主要な温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化 二窒素)の増加が続いており、2018年の世界平均濃度はいずれも観測史上最高を更新した。
気象庁は、WMOの温室効果ガス世界資料センター(World Data Centre for Greenhouse Gases: WDCGG)を運営しており、世界中の温室効果ガス観測データの収集、解析を行っている。WDCGGが解析した結果、2017年から2018年までの濃度の増加量は、二酸化炭素は過去10年間平均とほぼ同じ2.3ppmで、メタンは過去10年間平均より若干大きい10ppbだった。
同年報(気象庁訳)は、気象庁ホームページに公表されている。
また、同年報は、気候変動に関する国際連合枠組条約第25回締約国会議(COP25、12月2日~13日、スペイン・マドリード)で配布され、国際的な気候変動対策の基礎資料として用いられる予定だ。
UNFCCC、COPなどで利用
WDCGG は、温室効果ガスやエーロゾル、オゾンなど地球環境の長期的な監視やその結果を提供するWMO 全球大気監視(GAW)計画の下に設立されており、全世界から報告される温室効果ガス観測データを収集し、提供している世界で唯 一の国際的な機関だ。
同機関には、地上観測点のほか、船舶や航空機、人工衛星で取得された二酸化炭素やメタン等の各種温室効果ガス観測データが登録されている。WDCGG はこれらのデータを利用して様々な解析を行っており、その結果は、WMO温室効果ガス年報として気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)の締約国会議(COP)で毎年配布されるなど、温室効果ガスの現状を伝える活動に有効に利用されている。さらに、WDCGG が提供している観測データや解析結果は、世界の温室効果ガスの研究者にも広く利用されている。