今回のブログも、電力容量市場の仕組みや課題について、ご紹介していきたいと思います。
電力容量市場の背景
再生可能エネルギーの導入拡大にともなって火力発電所の採算性が悪化した結果、長期計画停止や廃止が相次ぎ、同時に火力発電所の新設が進まなければ、電力供給において必要なときに必要な供給力が確保できなくなるおそれがあります。この供給力を確保するために、発電所の維持に資するしくみを導入するといえます
この供給力、すなわち「kW」を取り引きする市場が、「容量市場」だということになります。
固定価格買取制度(FIT)の電気は、卸電力取引市場の価格で小売電気事業者が購入していますが、その昔、FITが導入される前の日本では、旧一般電気事業者は再生可能エネルギーに対し「kW価値がない」と評価していました。
再生可能エネルギーの発電する電気に対する評価は「燃料の焚き減らし程度」というものでした。したがって、容量市場の役割は、kW価値がない再生可能エネルギーの増加に対し、kW価値を維持するもの、という見方もできます。
OCCTOが2018年に取りまとめた供給計画によると、2021年および2022年8月の17時における供給予備力は、北海道を除けば10%を切っています。火力発電の廃止が続いた結果ということになります。なお、OCCTOはこの結果をふまえ、旧一電に対し、廃止の延期を要請したことで、供給予備率は上積みされており、2023年度以降は、供給予備率は10%を超えています。
容量市場の仕組み?
容量市場の仕組みはどのような形になっているのでしょうか?
日本で導入された容量市場のモデルは、米国PJM(ペンシルバニア、ニュージャージー、メリーランド地域をはじめとする13州とワシントンD.C.を管轄する、北米最大の送電網管轄機関)の容量市場と同じとなっています。1999年に創設されたPJMですが、当初から発電容量の確保という課題を抱えていました。
実質的なPJMでの容量市場導入は、2007年における「信頼度価格モデル」を見直したものになります。必要な発電容量の需要曲線を設定し、発電事業者に対してオークションを実施します。オークションの価格と供給量が供給曲線をつくり、その交点が落札価格となります。
まとめ
次回も引き続き容量市場に関する情報をお伝えしていきます。
これを機会に容量市場とはどういったものなのか理解を深めていただければと思います。