基本的に初期費用をかけずに太陽光発電システムを導入できる契約形態として、
日本でも関心が高まっています。
電力コストを削減できるというメリットに加えて、初期費用や
保守メンテナンスをPPA事業者に任せられることも大きな利点と言えます。
ただし、PPAモデルは長期的な契約が前提となっていることが多いこと、
厳しい条件が設定されている場合があることなどのデメリットもあります。
ここでは企業がPPAを利用するにあたり得られるメリットを5つと、
導入前に知っておきたいデメリット4つをご紹介します。
PPAモデルのメリット
1, 初期費用不要で太陽光発電システムの導入が可能
基本的に初期費用が不要です。
さらに電力会社よりも安い単価でPPA事業者から電力を購入することができます。
太陽光発電システムの設置費用は、PPA事業者が負担するケースが一般的です。
2. 自家消費した電力量について再エネ賦課金を削減することが可能
太陽光発電システムで発電した電気を自家消費する場合は、
再エネ賦課金(再生可能エネルギー賦課金)がかかりません。
3. PPA事業者がメンテナンスするため管理がいらない
導入後のメンテナンスをPPA事業者側が担います。
したがって、需要家は契約期間中、太陽光発電システムのメンテナンスや
修理をする必要はなく、維持管理に関する費用負担やリスクを検討する
必要がありません。
4.オフバランス化が可能
資産や取引などを事業の財務諸表から切り離すことを意味します。
PPAモデルでは、このオフバランス化、つまり資産計上等が不要となる場合が
あることもメリットの一つです。
5.BCP対策ができる
発電した電力を自社で利用できる状況になっている場合、BCP対策に
太陽光発電システムを活用することもできます。
太陽光発電システムの自立運転機能に加えて、蓄電池システムを導入することで
非常用電源として備えることができます。
ただし、BCP対策として電力を使用できるか否かは、PPA事業者との
契約内容によります。
PPAモデルのデメリット
上記のようにメリットの多いPPAモデルですが、デメリットとなりうる点も
押さえておく必要があります。ここでは簡単に4つのデメリットを解説します。
1. 長期的な契約になる
契約内容により異なりますが、多くのPPAモデルは、15~20年程度の長期契約が
必要です。契約期間中、太陽光発電システムはPPA事業者の所有物であり、
太陽光発電システムを設置する需要家による処分や解約は基本的に認められません。
2. 契約期間満了後のメンテナンスは自社で実施
契約期間満了後は、太陽光発電システムの設備がPPA事業者から
需要家に譲渡されるケースが多く見られます。
契約期間中のメンテナンスはPPA事業者が実施しますが、契約期間満了後の
メンテナンスは需要家側が行わなければなりません。
3. 自社所有に比べ経済効果が少ない
需要家は太陽光発電システムによる電力をPPA事業者から購入するため、
自社所有での太陽光発電システムほどの経済効果は見込みにくいでしょう。
初期費用が掛からない、あるいは抑えられるというメリットがあるものの
総合的な判断が必要です。
4,導入条件が厳しい
導入条件がいくつか設定されています。
具体的な条件はPPA事業者により異なりますが、設置場所(日射量が十分であるか、
積雪・塩害・強風地域に該当しないか)、
容量に関する条件(設置容量が下限値を下回らないか)などが挙げられます。
また、長期契約となることから、与信面での条件が厳しいこともあり、
必ずPPAモデルで締結できるというわけではありません。
おわりに
PPAモデルは事業者によって契約内容が大きく変わります。
導入を検討している場合は、複数のPPA事業者から話を聞くなどして
内容を比較し自身の会社にあったものを選ぶことが重要です。