日本のGDP・国際競争力が急速に低下した理由は何か?
また、国際社会で生き残る企業になるためには何をすべきなのか?
グローバル化が進んでいくことによって、
日本の産業ビジネスは今他国と比べてどのような状況にあるか
様々な意見が飛び交っています。
なかでも日本という国を長年支えてきた『ものづくり』だけでは
生き残れないなどの意見もあり興味深いのでご紹介します。
■日本企業の経営者が「デジタル投資」を優先しないワケ
なぜ日本企業では、経営者がそれほどソフトウエアのような無形資産への
デジタル投資を優先してこなかったのか?
その理由として、
「日本の経営者は、『ものづくり信奉』が強すぎて、こうした資本主義の
構造変化に気づくのが遅れた」と有識者から指摘されています。
この資本主義の構造変化とは「経済の非物質化」であり、
この非物質化した投資への遅れが、日本企業の国際競争力低下の
根本原因だという意見も少なくありません。
ここでの非物質化への投資とは、コンピュータソフトウエアやデータベースといった
情報化資産への投資であり、まさにデジタル化への基礎的な投資です。
■「いいものを安く大量に」では生き残れない時代に
今後は、ものを大量に安く、かつ品質の良いものを作るという製造業は、
それだけではグローバル企業として戦って生き残っていくことは難しくなってきました。
むしろ、製造したものを活用して、
より付加価値の高いサービスビジネスに展開していくことが求められるようになり、
そのサービス内容を充実したものにするためにも、ソフトウエアやデータベース開発を
含めたデジタル投資とデジタル人材が不可欠になってきます。
購入者はもの自体を求めているのではなく、
ものが提供する効用・パフォーマンスを求めているからです。
■脱炭素時代「企業の持続可能性」を左右するものは…
例えば、顧客は高効率空調機器自体が必要なのではなく、
その導入によって空間の快適性を維持しつつ省エネルギー・エネルギー効率化を通じて
エネルギーコストをも削減したいという要望です。
こうした「ものの効用」とさらには「顧客の体験」に着目するという
ビジネス感覚に基づいた新しいビジネスコンセプトが、
デジタル化によるソフトウエアの高度化と相俟って、
今後もより付加価値の高いサービスビジネスがあらゆる業種・業態へ
浸透していくことになると言われています。
その意味でも製造業自体も単なるものづくりから脱却したサービス産業化は
避けて通れないプロセスになってきたようです。
このサービス産業化の流れは本格的な脱炭素化を推進したい企業にとっても、
極めて重要なものであり、この潮流をどのようにうまく
自社の経営に取り入れることができるかが、
脱炭素・カーボンニュートラル時代における企業の持続可能性を示す
中核的な指標ともなることになるのでしょう。
■おわりに
日本の産業は古くからものづくりで成り立っていましたが、
グローバル化によって経済産業も大きく変わろうとしています。
スマホの基本機能は電話ですが、今では様々なアプリケーションプログラムによって、
ネット端末、財布、テレビ、カメラ、時計、計算機、照明など様々な機能を持っています。
それぞれ個別の製品を所有する場合と比較すると、エネルギー消費量の大幅削減のほか、
物質量も大きく減らしていることが実感できるのです。
つまり、今後デジタル化のさらなる進化によって、
単機能のモノを大量に製造してそれを販売し儲けていくというビジネスモデルは
成立しなくなるという示唆であり、脱炭素化という社会的な要請からも
産業構造のサービス化への傾斜・転換はますます促進されるということに
つながっていくということです。