国連の専門家グループは11月8日、企業や自治体が「CO2排出ゼロ(ネットゼロ)」を宣言する場合の条件について提言をまとめ公表しました。
この提言では、温室効果ガス(GHG)排出量を実質ゼロにする目標を宣言した企業や自治体などに対して、毎年の進捗を公にすることや、化石燃料の使用・支援を停止するための具体的な目標を定めることなどを盛り込んでいます。
2015年にパリ協定が採択されて以来、世界では、企業・自治体によるネットゼロ宣言の数が増加しています。
一方、同宣言では、うわべだけ環境に配慮しているように装う「グリーンウォッシング」への対応が課題となっています。
ネットゼロ宣言を確保するためのハウツーガイドへ
グテーレス事務総長は11月8日、同グループが提言をまとめた報告書について、「信頼性と説明責任を備えたネットゼロ宣言を確保するためのハウツーガイド」と位置づけ、「今後、環境の完全性・信頼性・説明責任・政府の役割という4つの主要分野で、明確さを提供する」と説明しています。
また同提言に賛同の意を示したうえで、「ネットゼロ規制タスクフォースを注視し、進捗報告に関する第三者検証に関してUNFCCC事務局長に計画策定を求める」などと述べ、提言内容を実現していく強い意志を示しました。
報告書では、ネットゼロ宣言の発表、目標設定、クレジットの活用、移行計画の策定、脱化石燃料と再生可能エネルギーの拡大、透明性と説明責任の向上、公正な移行への投資など、10の提言をまとめています。
提言の主な内容は以下のとおり。
・ネットゼロ宣言は各主体のトップが行い、行動に対する責任を反映する
・5年ごとに排出削減目標を設定し、目標達成に向けて移行計画を策定する
・途上国への資金提供を考慮した計画とする
・炭素クレジットによるオフセットは特に途上国の排出削減に活用されるものとする
・化石燃料の使用・支援を停止する
・毎年の進捗を公にし、独立した第三者による検証を受ける
・業界団体などへの加盟状況を公表、排出削減目標達成に必要な政策を明記する
・この検討を進めるため、各国専門家によるタスクフォースの結成を急ぐ
この専門家グループには、日本から日本気候リーダーズ・パートナシップ(JCLP)が参画しています。
JCLPは、持続可能な脱炭素社会の実現を目指す企業グループで、225社が加盟しています。
同団体は今回の提言内容の実現・実行に向けて、今後も各種ステークホルダーと連携の上活動を推進していくとしています。