皆さま、毎月の電気代はどれくらい掛かっているでしょうか?
皆さまのご家庭であれば奥様が管理しているかもしれませんが、会社や工場での電気代は皆さまが管理されていることが多いかと思います。
当然、会社の方がご家庭に比べて金額はかなり高いと思われます。
では、その電気代が毎年上昇していることはご存知だったでしょうか?
そうなんです。実は毎年上がっているのです。
今回は毎年上昇する電気代について、全2回にわたって電気代の仕組みと今後の傾向を紹介したいと思います。

電気代の仕組みについて
皆さまはご自身が電力会社と結んでいる契約の中身をご存じでしょうか?
恐らく知らない方も多いのではないかと思います。
実際に調べてみると分かりますが、実は電気代はどうしてこんなに複雑でわかりにくい料金体系になっているのか、あきれてしまうほどに複雑な内容になっています。
しかし、その仕組みを大まかにでも理解しておかないと、電気料金を抑えるための効果的な対策を打つことはできません。
いくら頑張って節電に取り組んでも、一時的に使用量が増えてしまうだけで、高い料金を払い続けなくてはならないケースもあります。
電気代が上昇していると言うけれどもそもそも電気代はどういった仕組みで金額決定されているのか?
まずは電気代がどういった決まりで金額が決まっているのかを紹介したいと思います。
電気代の算出方法
電気料金を安くするためには、まず基本的な計算方法をつかんでおく必要があります。
どの電力会社の契約メニューでも、計算方法は同じ。「基本料金」+「電力量料金」+「賦課金」の3種類となっています。
基本料金は月額固定ですが、電力量料金と賦課金は毎月の使用量に単価を掛け合わせて計算していくことになります。
一見すると簡単な計算式だが、実は基本料金と単価の決め方が非常に複雑になっているのです。
企業や家庭が電力会社と結ぶ契約メニューは何種類もあって、それぞれで基本料金に違いがあります。
まずは自社でどの契約メニューが適用されているかを確認することが第1歩になりますが、共通する原則は「契約電力を下げれば、基本料金は安くなる」。ということです。
電力会社は全国10地域に分かれていますが、どの電力会社でも契約メニューは4つの区分に集約できます。
使用量が多い順に「特別高圧」「高圧大口」「高圧小口」「低圧」となります。
このうち低圧は家庭や店舗、小規模な事務所や工場が対象で、そのほかは企業や大規模な施設向けのメニューになります。
どのタイプの契約メニューでも、利用できる電力の上限を「契約電力」として設定されています。
この契約電力の大きさで基本料金が決まってくるのです。
一番わかりやすいのは皆さまもご経験があると思いますが、家庭の場合で家の中に設置されているブレーカが契約電力を超えてしまうと、スイッチが落ちて電気を遮断する仕掛けになっているかと思います。
家庭向けの契約電力は通常「アンペア(A)」を単位にして決められており、最低10Aから最高60Aまであって、それぞれで基本料金は固定となっています。
契約電力のアンペアを下げれば、基本料金は安くなる仕組みなのです。
分かりやすいのでこのまま家庭の例で紹介しますと、一般の家庭では電圧を100V(ボルト)で使うことが多く、60Aの場合の電力の上限は6000W(6kW)になっています。
一時的に大きな電力を使わないように気をつければ、低めのアンペアのブレーカに変えても支障はないですが、たいていの家庭は余裕のあるアンペアになっています。
企業での電気代計算
これに対してオフィスビルに多い高圧小口の契約では、実際に使った電力の最大値が契約電力になります。
多く使えば使うほど契約電力が大きくなって、それに応じて基本料金が上がっていく。「実量値契約」と呼ばれるものです。
この仕組みを抑えておくことが重要になります。
電力の最大値は30分間の平均使用量をもとに、月ごとに最大値が決まります。
ただし契約電力は毎月変わるわけではなく、過去12か月の中から最大の月を選ぶことになっています。
つまり例えば夏に上昇した契約電力は冬も継続されてしまうのです。
当然それに応じて基本料金も高いままになります。
わずか30分間だけでも大量の電力を使ってしまうと、その後の1年間は高い基本料金が続くことになるのです。
この仕組みを知らずに高額の基本料金を払い続けている企業は少なくありません。
逆に言えば、夏の昼間に使用する電力を抑えることで、電力使用量のピークを抑えることができれば、その後の12か月間の基本料金が安くなります。
夏のピークカットは電力不足の解消に貢献するだけではなく、基本料金を引き下げる効果もあるのです。
現在の契約電力が何kWになっているかは、電力会社から毎月送られてくる請求書を見れば分かります。
実量値契約の請求書には、現在の契約電力と当月の最大値が記載されており、さらに電力会社によっては直近12か月の最大値も記載されています。
毎月の最大値の増減が小さければ問題ないが、極端に大きい月がある場合は基本料金を引き下げる余地があると言えます。
テナント契約の電気料金に要注意
企業の電気代はこのような方法で算出されています。
しかし、ここまで説明した料金体系が当てはまらないケースもあります。
ビルのテナントになっていて、電気料金もビルの管理会社から請求されるケースです。
テナント契約の場合は基本料金がなくて、使用量に応じた電力量料金だけになっているケースが多くあります。
使用量×単価で決まるが、管理費などを加えて単価が高く設定されているのです。
ビルの規模や設備によって状況は違うが、大規模なビルで1kWhあたりの単価が20円以上、中・小規模のビルで30円以上の場合は、電力会社の単価の2倍以上になっていて、ビル管理会社が割高に設定している可能性があります。
テナント契約では電力会社との直接契約にならないので、電気料金の値上げや値下げの影響がわかりにくいです。
そこでビル管理会社による過剰な便乗値上げが行われる可能性があるのです。
ビル管理会社から電気料金の単価を引き上げると通告された場合には、詳しい説明を求めるべきだとも言えます。
まとめ
如何でしたでしょうか?
改めて電気代の算出方法を見てみると知らなかったことも多いのではないでしょうか?
省エネ設備を導入しても電気代の仕組みが分かっていなければ不要に高い金額を払うことになってしまいます。
是非この機会に学ばれることをお勧めします。